イスラエルがイランを空爆、核施設を標的か-中東情勢緊迫で原油価格急騰・米株下落

2025年6月12日、イスラエルがイランに対する空爆を実施し、イランの首都テヘランでは複数の爆発音が確認されました。イラン国営テレビが報じたところによると、爆発は核関連施設付近でも発生した可能性があり、緊張が一気に高まっています。

米AP通信によれば、イスラエル当局はイランの核施設を標的とした攻撃を実施したことを確認。これを受けて、中東地域での戦争拡大への懸念が国際社会で強まっています。

以前から「いかなる攻撃にも報復する」と明言してきたイラン政府は、今回の空爆に対し強硬な反応を示しています。イスラエルのカッツ国防相は「イランからの報復を想定し、特別非常事態を宣言した」と発表。特に無人機やミサイルによる反撃の可能性に警戒を強めているとしています。

この攻撃は、イランの核開発を巡る外交交渉が進行中のタイミングで発生しました。米国とイランは6月16日にオマーンで6回目の協議を予定しており、対話による解決に注目が集まっていた最中の出来事です。米国のトランプ大統領は今週、核合意の実現可能性について「楽観できない」と懸念を表明していました。

地政学リスクの高まりを受け、金融市場も即座に反応しました。米株指数先物は下落し、米10年国債利回りは一時4.32%まで低下。一方、原油相場は急上昇し、ブレント原油は一時5.7%、WTI原油は4%の上昇を記録しました。

CNNによると、トランプ米大統領は閣僚級会合の開催を決定。同会合はイスラエルの攻撃前から予定されていたものの、今回の情勢を受けて内容が変更される可能性があります。

また、ルビオ米国務長官は「今回の攻撃に米国は関与していない」と明言。日本政府も警戒を強めており、武藤容治経済産業相は「日本のエネルギー供給に現時点で影響はないが、引き続き高い緊張感を持って注視する」と語りました。

今回のイスラエルによるイラン核施設への攻撃は、地域情勢だけでなく世界経済にも大きな影響を与える恐れがあります。今後、イランが報復に出るかどうか、また外交交渉が継続されるかが注目されています。