ニデックは売られすぎ?—PER13倍・PBR1.5倍“今が買い?”【徹底解説】

【結論】

本件(イタリア子会社の貿易・関税問題)はネガティブなニュースではあるものの、バリュエーションはPER約13倍・PBR約1.5倍と歴史レンジ対比で「割安~中立」圏に位置。分割エントリーでの買い出動を検討できる水準だと考えます。以下、数字・材料・リスクを整理して、“今買う理由/買わない理由”を可視化します。

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なぜ「今から買い」だと思うのか

足元の売られ方は、ファンダの変化(業績の大崩れ)よりもネガティブ・ヘッドライン(関税・監査遅延)への反射が大きいとみます。会社は2025年3月期第1四半期の業績速報値(4–6月)を公表済みで、営業利益は前年比プラスのレンジを示しました。もちろん、追加調査の結果次第で修正リスクは残るものの、事業の稼ぐ力は毀損していないという一次情報が確認できます。

市場は「最終的な関税・ペナルティの額が見えない」期間に不確実性ディスカウントを深くつけがちです。これは裏を返すと、見通しが晴れる前に仕込み、情報確定で利食いする余地がある局面とも読めます。

イタリア子会社問題の要点—1分で把握

【論点】

イタリア子会社(NIDEC FIR INTERNATIONAL S.R.L.)の米向け輸出で、原産地の申告に不備があった疑い。米国の原産地判定ルール上、中国製部材を用いる場合に「中国原産」認定→追加関税(Section 301など)の対象になり得る製品が含まれていた、というものです。

今回のタイムテーブル

  • 開示の流れ:監査・追加調査に時間を要し、有価証券報告書の提出期限延長→第1四半期短信の開示延期期日を改めて開示の順で公式発表。
  • 会社の対応:追加調査の継続、第三者委員会の設置、対米出荷ルールの見直し等。
  • 現時点:第1四半期の速報値は公表済。短信は会社の開示スケジュールに沿って開示される見通し。

重要なのは、「決算が永遠に出ない」というわけではないという点です。スケジュールのメドが提示されており、情報の不確実性は時間経過とともに緩和されます。

指標チェック|PER13倍・PBR1.5倍の読み方

市況情報ベースでPER約13倍/PBR約1.5倍(以下、便宜上PBRと表記)と想定。ハイエンド成長株のバリュエーションから見れば控えめ、国内機械・電機セクターの平均レンジと比べても割安~妥当ゾーンに位置します。

※2025年11月12日—午後8:30時点

PERとPBRの画像
ニデック(6564):PERとPBR

含意:無形資産投資やM&Aを通じた成長期待を織り込みにくい地合いのなかで、「悪材料出尽くし→再評価」の青写真が描ける位置。加えて、第1四半期の速報値は営業利益が前年プラス域で、事業システムの健全性がうかがえます。

もちろん、追徴関税・ペナルティの最終確定額によっては一時的に純利益やキャッシュアウトが重くなる可能性があります。ただし、その性質はストック(過去分の精算)であり、フロー(稼ぐ力)の劣化とは必ずしもイコールではありません。

シナリオ|想定と投資行動

ニデック(6564):月足チャート

シナリオA—追徴は軽微、監査もスムーズ→正常化

ディスカウントが剥がれ、バリュエーションの平均回帰。段階的に押し目買い→保有継続が有効。

シナリオB—追徴は中程度、ただし見通し明確化

悪材料の“額の確定”がポジティブサプライズに。イベント通過で需給が改善し、短中期での戻りを拾うプランが機能。

シナリオC—追徴が大きく監査も難航

下振れリスクは高いが、分割エントリーで希薄化。テクニカル閾値(過去安値帯・出来高集中帯)に買い指値を散らし、時間分散で給料日積立のように拾う戦術。

主要リスクと対処|投資家の行動ルール

  • 関税・ペナルティの上振れ:確定前に過度なポジションを持たない。最大許容ドローダウンを事前設定。
  • 短信・有報での追加情報:数値の見直しが出た場合は、キャッシュフロー影響と一過性/継続影響を分解して評価。
  • 為替・部材価格:モーター事業の感応度を踏まえ、ヘッジ有無や価格転嫁力に注目。
  • ガバナンス:第三者委員会の提言→内部統制の強化策が実装されるかを追う。

実務|分割エントリーの設計—HowTo

How To|分割エントリー設計

  1. 資金配分:想定フルポジションを100とし、最初は30~40。残りはイベント(短信・有報・委員会報告)通過に合わせて30→30で追加。
  2. 価格帯分散:直近高安のフィボナッチ水準出来高の節に買い指値を設定。
  3. 時間分散:毎週・毎月の定時買い付けで平均取得単価を平滑化。
  4. 撤退ルール:重要サポートの週足終値での明確割れ、またはガバナンス・トーンの悪化で一部縮小。

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※本ブローカーは海外拠点のため国内の投資者保護制度(信託保全など)の適用範囲が異なります。
※ハイレバレッジ取引は損失も拡大します。必ずリスク・約款・商品仕様を確認のうえ、余裕資金でお取引ください。

よくある質問|FAQ

子会社の関税問題、どの程度のインパクト?

 最終確定額は未公表ですが、会社は調査・第三者委員会・出荷ルール見直しを進めており、短信・有報の更新で情報が整う見込み。性質としては過去分の清算要素が強く、本業の稼ぐ力が即座に毀損する構図ではありません。

いつ買うのがベスト?

分割エントリーが前提。第1四半期短信の開示、続く四半期の更新、第三者委員会の報告など、イベント節目ごとに等分して買い増しするのが現実解です。

PER13倍・PBR1.5倍は割安と言えますか?

成長投資・M&Aの多い同社の性格を踏まえると、「割安~中立」の評価。悪材料の金額確定から再評価へと進む過程で、需給が改善する余地があります。

直近の業績は悪化していませんか?

会社の第1四半期「業績速報値」では、営業利益は前年比プラス域でした。速報値のため、後日に修正される可能性はあります。

それでも下振れが怖いです…

最大ドローダウン許容を先に決め、価格と時間で分散するのが基本です。イベント手前での過度な一括投下は避け、押したら追加、戻りで一部利確するルールを設けて対応しましょう。

【Check Point!】情報の不確実性を“味方”にする買い方

ネガティブなニュースが大きく拡散した直後こそ、“割安に拾える”時間が生まれます。ニデックの場合、PER約13倍・PBR約1.5倍という現実的な水準にあり、第1四半期の業績速報値はプラス圏。最終的な追徴の確定まではノイズが続き得ますが、分割エントリー+イベント分散期待値の高いリスクリワードを狙える局面だと考えます。

著者紹介

元大手投資銀行(IBD)

リサーチ部門担当アナリスト

アナリスト歴12年

現エムズインベストメント投資情報局

リサーチ部門担当

専門は財務諸表分析、また、各国ファンダメンタルズ、マクロ経済を研究分析。

著:シューケル順子氏

シュケール順子の画像
出典:M's investment経済研究所

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