米国、G7に対中印100%関税提案|凍結資産没収でロシア圧迫

米国が主要7カ国(G7)とEUに対し、ロシア産原油を購入する中国・インドへ最大100%の「二次関税」を科すよう要請。さらに凍結中のロシア国家資産(約3000億ドル)を段階的に差し押さえ、ウクライナ防衛に充てる法的枠組み構築を求めています。トランプ米大統領は9月12日、追加の銀行・石油関連制裁に言及。交渉停滞が続く中、エネルギー・為替・新興国貿易の連鎖的影響を徹底的に読み解きます。
- 関税案:中国・インドのロシア原油調達に最大100%の二次関税を提案。G7・EUに協調要請。
- 凍結資産:約3000億ドルのロシア国家資産を法的に没収し、ウクライナ支援へ充当する枠組みを協議。
- トランプ発言:「プーチンへの忍耐が急速に尽きつつある」―銀行・石油・関税で非常に厳しい制裁を示唆。
- 資産の所在:凍結資産の大半は欧州、とりわけベルギーのEuroclearに集中。
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米国提案の中身|対中印「最大100%」の二次関税
米国はG7とEUに対し、中国・インドによるロシア産原油の購入に最大100%の二次関税を科す案を提起。目的はロシアの資金源を断ち、ウクライナでの戦争終結に向けて圧力を最大化することです。具体案には、エネルギー流通の抑制に向けた追加の貿易制限も含まれています。
凍結ロシア国家資産|約3000億ドルの「法的没収」枠組み
米国は、約3000億ドルに上るロシア凍結国家資産を段階的に没収し、ウクライナ防衛・復興に充当する法的枠組みの整備を同盟国に要請。G7は既に、凍結資産の運用益を担保にした500億ドル規模の対ウクライナ融資で合意しており、今回の提案は「元本」への踏み込みを示唆します。
資産の所在|欧州(Euroclear)に集中
凍結資産は欧州に偏在し、ベルギーの証券決済機関Euroclearが大きなシェアを保有。推計ではEU域内で約2,000億ドル規模が管理されているとされ、法域間の調整とリスク管理がカギとなります。
トランプ大統領のメッセージと外交環境
トランプ大統領は9月12日のインタビューで、プーチン大統領への忍耐が「急速に尽きつつある」と述べ、銀行制裁・石油・関税で非常に厳しい措置を示唆。折衝に関し、ロシア側は「一時停止」状態だと説明しており、政治的圧力と経済手段の同時強化が続く見通しです。
市場インパクト|原油・為替・輸送保険の三重波及
① 原油価格:二次関税が実装されれば、ロシア産割安原油のアービトラージは縮小。ブレントやドバイ系指標のリスクプレミアムが上乗せされやすく、中期的に価格の上方硬直性が強まります。
② 通商・物流:関税回避の再旗国化・船舶追跡の厳格化・P&I保険料の上昇で、輸送コストが増加。中印の調達先分散は進む一方、受入側の決済・保険・船腹確保がネック。
③ 為替:資産没収が現実味を帯びれば、欧州金融機関のバランスシート再評価とユーロ金利観測に波及。運用益スキームの拡張は欧州債の需給にも影響。
政策リスク|合意形成と法的課題
国家資産の没収は、主権免除・国際投資法・条約義務に関わる高度な法的論点を内包。G7内でもリスク認識は一枚岩ではありません。EUでは運用益の活用から段階的アプローチを模索する声が強く、域内司法審査や第三国への前例効果も焦点です。
今後のシナリオ|短期〜6ヶ月
- 関税の枠組み合意→段階導入:対象品目・税率・適用開始日を段階化。回避取引の監視強化。
- 凍結資産の「運用益拡大」強化:没収前段として、利息・運用収益の還流を拡大。
- 限定的没収のパイロット:中央銀行資産の一部から着手、司法審査・補償枠組みを整備。
| 項目 | 数値・現状 | 補足 |
|---|---|---|
| 提案関税 | 最大100%(二次関税) | 中印のロシア原油購入に対して。 |
| 凍結国家資産 | 約3,000億ドル | 大半が欧州に所在、Euroclearが重要拠点。出典:/Verfassungsblog |
| G7の既存枠組み | 運用益担保の約500億ドル融資 | 元本没収は今後の焦点。出典:Reuters |
| 大統領発言 | 銀行・石油・関税で「非常に厳しい制裁」 | 9/12インタビュー。出典:/Reuters |
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FAQ|よくある質問
二次関税はいつから始まる?
現時点では提案段階。G7・EUでの合意・法整備・実務設計を経て段階導入が想定されます。
没収と「運用益活用」の違いは?
運用益は凍結資産の利息等を活用する仕組みで、既にG7は約500億ドルの融資枠組みで合意。没収は元本に踏み込むため、法的ハードルがより高いと見られます。
どこに資産が多い?
欧州、特にベルギーのEuroclearに集中しているとの推計があります。


