長期金利1.8%目前の円債市場|スティープ化と財政リスク【徹底解説】

長期金利1.8%目前の円債市場

日本の円債市場で、久しぶりに「金利」そのものが主役になっています。新発10年国債利回りは、かつてのゼロ金利・マイナス金利の時代からは想像しにくい水準まで上昇し、1.8%が視野に入ったとの見方も出ています。

背景には、高市早苗政権が掲げる「責任ある積極財政」による国債増発への思惑や、日銀の金融政策の転換など、複数の要因が重なっています。イールドカーブはフラットからスティープ(右上がり)へと大きく形を変え、特に超長期債ゾーン(20年・30年・40年)の金利には財政リスクに対する市場の厳しい視線が現れています。

本記事では、現在の円債市場で何が起きているのかを整理しつつ、イールドカーブのスティープ化が意味するもの、今後のリスクシナリオ、そして個人投資家が取るべき具体的なアクションまで、投資初心者にもわかりやすく深掘り解説していきます。

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目次

足元の円債市場で何が起きているか?

まずは、具体的な金利水準を押さえておきましょう。2025年秋時点で、新発10年国債利回りは一時1.7%台後半まで上昇し、約16〜17年ぶりの高水準となりました。

また、以下の実例のように、残存期間が長いゾーンほど金利が大きく上昇しているのが特徴です。これは単に「日銀が利上げをしたから」というだけでは説明できません。

残存期間が長い国債ほど金利上昇

  • 新発20年債利回りはおおむね2.8%前後
  • 新発40年債利回りは3%台後半と、過去最高水準圏

実際、10年ゾーンの金利は1.7%周辺でいったん押し目買いが入り、他のゾーンよりも上昇ペースが鈍くなる場面が見られました。一方で、中期(5〜9年)や超長期(20〜40年)では売りが優勢となり、イールドカーブ全体が「U字型」から「右上がり」へと再び変化しつつあります。

この動きは、市場参加者が財政の先行きや国債の需給により敏感になっていることの表れと考えられます。

イールドカーブのスティープニングとは何か?

ここで登場するキーワードが「イールドカーブ(利回り曲線)」です。イールドカーブとは、横軸に残存期間、縦軸に利回りをとり、国債などの金利を線で結んだものです。日本の財務省も、各年限の金利をもとにイールドカーブを公表しています。

出典:財務省「国債金利情報」

通常、残存期間が長くなるほどリスクが増えるため、短期金利 < 中期金利 < 長期金利という右上がりのカーブが「正常な形」とされます。これが、以下の状況のようになり、景気や金融政策への期待・不安によって形を変えていきます。

期待・不安によって形状を変える金利

  • 長期・超長期の金利が大きく上がる → スティープ化(急傾斜化)
  • 全体が平らになる → フラット化
  • 短期のほうが高くなる → 逆イールド

今回の日本では、主に超長期ゾーンの金利上昇がカーブ全体を押し上げる形でスティープ化が進んでいます。これは市場が、以下の2つのPointを考え始めていることを意味します。つまり、財政とインフレの長期リスクに対する「警戒料」が金利に上乗せされている状態と言えるでしょう。

コンセンサスが考慮する2Point!

  • 「将来、国債が増え続けるのではないか」
  • 「長期的なインフレや金利上昇リスクに対してプレミアムを要求したい」

「責任ある積極財政」—財政規律への警戒

金利上昇を語るうえで避けて通れないのが、高市政権の掲げる「責任ある積極財政」という方針です。景気の下支えや防衛・少子化対策などの名目で、補正予算や大型の歳出が続けば、先行きの国債発行残高はどうしても膨らみがちになります。

現時点で市場は、補正予算の規模そのものに過度なパニックを起こしているわけではありません。しかし、

2つの懸念点

  • 将来的にも似たような規模の財政出動が続くのではないか
  • 債務対GDP比を安定させるための具体的な工程が見えにくい

といった「財政規律の緩み」への不安が、ジワジワと長期金利を押し上げています。実際、政府は債務対GDP比を下げ財政の持続可能性を確保すると強調しているものの、市場はその実現可能性を厳しく見ています。

出典:Reuters Japan

特に超長期債は、20〜40年という非常に長い期間にわたって国の信用リスクを負うため、財政運営への信認が揺らぐと、真っ先に売り圧力が高まりやすいゾーンです。結果として、「超長期金利が跳ね上がり、カーブが急角度で立ち上がる」という今のようなスティープ化が起きます。

これは「今すぐ財政が破綻する」という意味ではありませんが、市場が政府に対して『これ以上、安易な財政拡大はやめてほしい』というシグナルを送っていると解釈することもできます。

日銀の金融政策転換と国債市場への影響

金利上昇のもう一つの大きな要因が、日銀の金融政策の転換です。2024〜2025年にかけて日銀は、3つの動きで正常化プロセスを進めてきました。財務省も国債発行計画の中で、こうした日銀の政策変更と金利動向を整理しています。

出典:財務省「特集|令和7年度国債発行計画について」

日銀の3つの動き

  • マイナス金利の解除
  • 長短金利操作(イールドカーブ・コントロール:YCC)の終了
  • 国債買入れ額の段階的な減額

これまでの日本では、日銀が長期国債を大量に買い入れることで、イールドカーブ全体を人為的に押し下げてきました。しかし、買入れ額を減らし、金利形成を市場に戻していく流れの中では、

金利の正常化で起こる状況

  • 実需とリスク認識にもとづいた「素の金利」が表面化しやすい
  • 国債の新規発行・借換えの負担を、市場が厳しく査定する

という状況になります。特に超長期ゾーンでは、日銀の買い支えが弱まり、民間投資家の需給バランスが金利にダイレクトに反映されやすくなっている点に注意が必要です。

今後、インフレ率が想定より高止まりしたり、追加の利上げが議論される局面では、長期金利が再び1.8%〜2.0%をうかがう局面も十分考えられます。

イールドカーブの形状から読み取る—3つのシナリオ

現在のスティープ化したイールドカーブは、今後の日本経済と財政に関して、少なくとも次の3つのシナリオを示唆しています。

3つのシナリオ

  1. 財政拡張が続き、インフレ圧力がじわじわ高まるシナリオ
    大型の歳出が継続し、名目成長率がある程度高止まりする一方で、財政再建の具体策が後回しにされるパターンです。超長期金利は高止まりし、国債の利払い負担が中長期的な重石になります。
  2. 景気減速で金利上昇が一服するシナリオ
    海外経済の減速や為替の急激な円高などで景気が冷え込めば、長期金利は一時的に低下する可能性があります。ただし、財政赤字が構造的であれば、下げ余地には限界が出てきます。
  3. 財政健全化と成長戦略が両立する「ソフトランディング」シナリオ
    中長期のプライマリーバランス目標や歳出改革の工程表が具体化し、市場が政府の「本気」を評価すれば、超長期金利に乗っているリスクプレミアムが徐々に剥がれ、イールドカーブはなだらかな形に戻る可能性があります。

現時点でどのシナリオに向かうかは断定できませんが、カーブの形の変化そのものが、政府・日銀への市場からの「採点表」になっている点は意識しておきたいところです。

個人投資家—押さえるべきポイント

では、このような金利上昇・スティープ化の局面で、個人投資家はどこに注目すべきでしょうか。主に次の3つの観点が重要です。

① 国債・社債など債券投資の位置づけを見直す

長期金利が上がると、新規に発行される国債や社債の利回り水準も切り上がっていきます。これまで「債券は利回りが低すぎる」と感じていた投資家にとっては、債券をポートフォリオに組み込みやすくなる局面とも言えます。

一方で、すでに保有している既発債券は、金利上昇に伴い評価額が下落しやすくなります。したがって、下記の【Point!】を整理しながら、「利回り」と「価格変動リスク」のバランスを改めて検討することが大切です。

【Point!】

  • どの年限の債券に投資するか(短期・中期・長期)
  • 信用リスクの低い国債を中心にするのか、社債や劣後債まで広げるのか

② 債券投信・バランス型投信の役割を再チェックする

金利上昇は、債券ファンドやバランス型投信(株式+債券)にとって、短期的には評価額のマイナス要因になります。ただし、新しく組み入れられる債券の利回りが上がることで、中長期的な分配・リターンの土台が強くなるという側面もあります。

したがって、下記の2点を確認し、リスク管理の観点から債券ファンドをどう位置づけるかを考える必要があります。

2点のリスク管理

  • 下落局面だからといって慌てて売却するのではなく、自分の投資期間の中で許容できる値動きかどうか
  • 株式偏重になっていたポートフォリオに、インカム狙いの債券・バランス型をどの程度組み込むか

③ 株式・REITとのアセットアロケーションを最適化する

金利が上昇すると、将来キャッシュフローの割引率が高くなるため、一般に株式やREIT(不動産投資信託)にとっては逆風になりやすいと言われます。ただし、下記の例のように金利上昇局面でも相対的に優位に立ちやすい銘柄・セクターも存在します。

優位に立ちやすい銘柄

  • インフレ環境下で利益を伸ばせる企業の株式
  • 賃料の引き上げによって収益を確保できるREIT

重要なのは、短期的な評価損だけを見て焦るのではなく、自分の投資期間とリスク許容度に応じてポートフォリオ全体を組み直すことです。株式・債券・REIT・現金などの配分を見直しの観点から、アセットアロケーションをアップデートしていくことが、金利変動に強いポートフォリオづくりにつながります。

金利変動に強いポートフォリオ

  • 金利上昇をむしろ「インカム機会」として活かす
  • 特定の資産クラスに偏りすぎないようにする

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長期金利上昇局面で検討したい具体的なアクション

ここからは、長期金利1.8%時代を見据えたうえで、個人投資家が検討しやすい具体的なアクション例を紹介します。以下のリンクは広告を含みます。

① ネット証券で国債・債券投信のラインナップを確認する

超長期金利が高まった局面では、国債やインカム重視の債券ファンドの魅力が相対的に高まりやすくなります。少額から分散投資を始めたい場合は、ネット証券の口座を1つ持っておくと商品選択肢が大きく広がります。

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② 老後資金・インカム設計を含めた長期運用プランを作る

金利上昇は、年金・退職金の受け取り後の「インカム設計」を見直す良いタイミングでもあります。株式だけに頼らず、債券・リート・定期預金などを組み合わせたポートフォリオを検討することで、将来の生活費をより安定的に賄える可能性が高まります。

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これらのサービスを活用することで、情報収集から商品選び、資産設計までワンストップで進めやすくなり、結果としてCTR(クリック率)やCVR(成約率)も高まりやすい導線を構築できます。

【Check Point!】長期金利1.8%時代—どう向き合うか?

日本の長期金利が1.8%目前まで上昇し、超長期債を中心にイールドカーブのスティープ化圧力が強まっている現状は、

現状

  • 「責任ある積極財政」による国債増発への思惑
  • 日銀によるマイナス金利・YCCの終了と国債買入れ減額
  • インフレ・金利の先行き不透明感

といった要因が重なった結果です。これは端的にいえば、「これまでの極端な低金利・金融抑圧の時代が終わりつつある」ことを意味します。

個人としては、恐怖心だけで「投資をやめる」「ローンを全て繰り上げ返済する」といった極端な行動を取るのではなく、「金利と付き合う力」を身につけることが重要です。今後も、イールドカーブの形や長期金利の動きは、政府の財政運営と日銀の金融政策に対する市場の評価を映す鏡であり続けます。

上手い金利の付き合い方

  • 安全資産の利回り改善を冷静に活用する
  • ローン金利上昇の影響を試算し、必要に応じて借り換えや返済計画を見直す
  • 債券・株式・現金を組み合わせた長期的な資産配分を設計する

金利が動く時代は、リスクであると同時にチャンスでもあります。本記事で紹介したポイントを参考にしながら、ご自身のポートフォリオと家計のバランスを一度丁寧に見直してみてください。

出典|参考リンク

※上記リンクは記事執筆時点の情報であり、将来の金利動向や政策を保証するものではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。

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