FRB議長、利下げを急がずトランプ政権の通商政策を注視

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、トランプ政権の通商政策が明確になるまで利下げを急がない考えを示しました。7日に行われた連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド(FF)金利を4.25-4.5%に据え置くことが決定されました。
今回の会合は、トランプ大統領が発表した広範な関税措置以降初めてのもので、FOMCはインフレの上昇と失業率の悪化リスクについて警告しました。パウエル議長は、労働市場を支えるための利下げと物価上昇を抑えるための金利据え置きの間で難しい選択が迫られていると述べました。

BNPパリバのチーフエコノミスト、ジェームズ・エゲルホフ氏は、米経済データに重大な変化がない限り、FOMCは様子見姿勢を維持するだろうと指摘しました。また、次の動きがリセッション(景気後退)に向かうのか、インフレが経済に定着するのか、確度が高まるのを待っている状況だと説明しました。
トランプ氏は、FRBが利下げを行わないことに対してパウエル議長を批判しており、議長はホワイトハウスがリスクや不確実性を解消するのに適した立場にあると強調しました。議長は、現在、政権が重要な貿易相手国との交渉を進めている段階にあると述べました。

ニュー・センチュリー・アドバイザーズのチーフエコノミスト、クラウディア・サーム氏は、現在のFRBが以前のような「全世界の支配者」的な雰囲気を持たず、ホワイトハウスの政策に大きく左右されていると指摘しました。
複数のエコノミストによれば、新たな関税の影響が経済全体に現れるまでには時間がかかるとし、現在は景況感の悪化と輸入急増の形でその影響が顕在化しています。金利先物市場では、投資家は年内に3回程度の利下げを見込んでおり、7月の利下げの確率は約85%とされていますが、6月の利下げは予想されていません。
FRBの元上級政策顧問であるエレン・ミード氏は、6月までに十分な情報をもたらすデータは出ないだろうとし、利下げが実施されるのは早くても7月、あるいは9月になると予想しましたが、確信は持てないと述べました。