9月米雇用統計—FRB利下げ判断と投資家への影響

9月雇用統計

2025年9月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想を上回る増加となる一方で、 失業率は約4年ぶりの水準へ上昇しました。
さらに、8月分の雇用者数は減少方向へ大幅に下方修正され、米労働市場の「強さ」と「ひずみ」が同時に浮き彫りになっています。

【記事のPoint!】

  • 9月米雇用統計の具体的な数字とポイント
  • 政府閉鎖と10月雇用統計「欠測」の影響
  • 12月FOMCでFRBが何を注視するのか
  • ドル円・米国株・FX取引にどう影響するのか
  • 日本の個人投資家が取るべき投資戦略のヒント

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【9月米雇用統計の全体像】

—「堅調な雇用増と不安定さの同居」—

9月の非農業部門雇用者数は、市場予想を上回る約11万9,000人増(+)となりました。 これまで数カ月続いていた「雇用増の鈍化」から一歩抜け出し、特にヘルスケアや娯楽・ホスピタリティー分野が 雇用増をけん引しています。

一方で、失業率は4.4%と、約4年ぶりの高水準へ上昇しました。失業率悪化だけを見ると 「景気後退のシグナルでは?」と不安になりますが、その背景には 労働市場への復帰・新規参入が増えたこと(労働参加率の上昇)もあり、 単純な「雇用崩壊」とは言い切れない複雑な構図があります。

さらに、7〜8月分の雇用者数は下方修正され、特に8月は小幅な減少に転じました。 これは「過去の数字ほど労働市場は強くなかった」という見方を補強し、9月分の堅調な伸びとのギャップが 労働市場の不安定さを際立たせています。

今回の統計は、米政府閉鎖(政府機関の一時閉鎖)による発表遅延の影響も受けました。 本来10月3日に予定されていた9月分の発表は大きく先送りされ、結果的に11月20日に公表されました。 一方で、統計作成の基礎となるデータ自体は閉鎖前に収集済みであったため、数字そのものの信頼性は保たれています。

しかし10月分の雇用統計は完全に欠測となり、BLSは10月分の雇用者数データのみを 11月分に組み込む方針を示しています。失業率の算出に用いる家計調査データは収集できなかったため、 10月分の「公式な失業率」は存在しません。

つまり、FRBが12月9〜10日のFOMCで判断する際に利用できる最新の完全な雇用統計は、 この9月分が事実上「最後のピース」となります。これが市場にとって緊張感を高める最大のポイントです。

労働参加率—上昇が示す「明と暗」

9月の労働参加率は62.4%と、4カ月ぶりの高水準に上昇しました。 特に女性の参加が増えたことが押し上げ要因となっており、25〜54歳の「働き盛り世代」の参加率も 約1年ぶりの高水準を維持しています。

一見するとポジティブな動きですが、同時に仕事を失った人、特に恒久的な失業者の増加も 確認されています。経済的な理由からパートタイム勤務を余儀なくされていた人の数は減少した一方で、 長期失業者の割合は低下しながらも、恒久的な解雇による失業が増えている点は要注意です。

つまり、9月の失業率上昇は、「量としての改善」「質としての悪化」が同時進行している状態を反映しています。

失業率上昇の要因

  • 新たに労働市場に戻ってきた人が増えた(分母の拡大)
  • 構造的な失業につながりかねない解雇も増えている

FRBにとっては、単に失業率の一点だけを見るのではなく、労働参加・雇用の質・賃金動向をセットで評価する必要がある局面と言えるでしょう。

業種別の雇用—サービスは堅調、製造・物流は逆風

9月の雇用増をけん引したのは、ヘルスケア娯楽・ホスピタリティー(観光・飲食など)といった 対人サービス分野でした。コロナ禍からの回復を背景に、医療・介護や旅行関連の需要が底堅く、 雇用も拡大が続いています。

一方で、製造業や運輸・倉庫、ビジネスサービス分野では雇用が減少しています。 物流の鈍化や企業のコスト削減を背景に、トラック運転手や倉庫関連の職、さらには コンサルティング・ITサービスの一部にまで調整圧力が及んでいるとみられます。

民間部門全体の雇用者数は約9万7,000人増と、5カ月ぶりの大きな伸びとなりましたが、 「どの業種が増えているのか」を見ると2つの構図がはっきりしてきています。

雇用者数の2つの構図

モノづくり・物流・の一部で調整局面

サービス業中心に底堅さが続く

これは、景気の最終段階でよく見られるパターンであり、 「消費関連は頑張っているが、先行指標である製造業や物流には疲れが見え始めている」 とも解釈できます。

賃金の伸び鈍化—利下げの決定打にならず

9月の平均時給は前月比+0.2%と、市場予想(+0.3%)をやや下回る伸びにとどまりました。 伸び率としては2025年6月以来の低い水準で、賃金インフレは着実に鈍化傾向にあると言えます。

ただし、前年同月比では+3.8%と、依然としてFRBの物価目標(2%)と比較すれば かなり高い伸びです。賃金の伸びが完全に落ち着いたとは言い難く、 「物価の粘着性」が残っていることを示しています。

そのため、9月の雇用統計は以下のような組み合わせとなり、「12月FOMCでの追加利下げを強く正当化するデータ」とまでは言えない との見方が有力です。

9月雇用統計【Point!】

  • 雇用者数は堅調(リセッション入りとは言い難い)
  • 失業率は上昇したが、労働参加率の増加も一因
  • 賃金の伸びは鈍化しているが、なお高めの水準

一方で、市場には依然として「景気減速が続けば来年以降の利下げは避けられない」との見方も根強く、 今回の統計はタカ派・ハト派いずれの主張にも材料を提供する結果となっています。

政府閉鎖と10月雇用統計—「欠測」がFOMC判断を難しくする

今回、9月の雇用統計の発表が大きく遅れただけでなく、 10月分の雇用統計はそもそも公表されないという異例の事態となりました。

米労働統計局(BLS)は、政府閉鎖の影響で家計調査(失業率などの算出に必要)のデータ収集ができなかったため、 10月の雇用統計のニュースリリースを取りやめると表明しています。 一方で、企業からの事業所調査データ(雇用者数)は一部収集されており、 11月分の統計(12月16日公表予定)に組み込む方針です。

問題は、12月9〜10日のFOMCまでに「10月の失業率・雇用情勢の全体像」がわからないことです。 FRBは通常、毎会合前に最新の雇用統計を確認して政策判断を行いますが、 今回は9月分を最後に、およそ2カ月分のギャップを抱えたまま会合を迎えることになります。

そのため、多くのエコノミストは、

『FRBは12月会合で政策金利を据え置きにする可能性が高い』

『追加利下げに踏み切るには「雇用悪化」の証拠が弱く、データ不足もマイナス材料』

と見ています。「データに基づく中央銀行」であるFRBにとって、データそのものが欠測であることは最大のリスク とも言え、慎重姿勢を強める方向に働きやすいと言えるでしょう。

雇用統計後の市場反応—金利低下と不安定なドル相場

9月雇用統計の発表を受けて、米国債利回りは低下しました。 雇用増は堅調だったものの、失業率上昇や賃金の伸び鈍化が確認されたことで、 「急激な追加利上げはない」との見方が再確認された形です。

一方で、ドル指数(ドルインデックス)は前日終値を挟んで上下を繰り返す不安定な値動きとなりました。 ドル円相場も、対ドルで円安圏を維持しながらも、一時的に下げ幅を縮小する場面がありました。

株式市場では、金利低下を好感する動きと、「雇用統計の解釈の難しさ」から様子見ムードが交錯し、 一時的に上昇した後に上げ幅を削るなど、方向感に欠ける展開が目立ちました。

投資家心理としては以下のように、やや中途半端な受け止め方が中心と言えるでしょう。

投資家の心理

  • 「利上げ再加速リスクは後退」=株・債券にはプラス
  • 「利下げ加速を期待できるほど弱い数字でもない」=リスクオン一辺倒にはなりにくい

個人投資家—現状マーケットの投資戦略

9月の米雇用統計と政府閉鎖の影響を踏まえると、日本の個人投資家が意識すべきポイントは次の3つです。

【Check Point!】

  1. 「景気急減速」ではなく「減速しつつも粘る労働市場」
  2. 10月雇用統計欠測により、12月FOMCは不確実性が高い
  3. 急激な金融政策変更よりも「様子見・小刻みな調整」の可能性が高い

ドル円・FX取引のポイント

  • 雇用統計だけでドル円の方向性を決めつけず、物価指標(CPI・PCE)やFRB高官の発言と組み合わせて判断する。
  • 不確実性が高い局面では、レバレッジを抑え、ポジションサイズを小さくすることがリスク管理上重要。
  • 指標発表直後の「ノイズ的な値動き」よりも、数時間〜数日かけて形成されるトレンドを重視する。

米国株・投資信託・NISAのポイント

  • 雇用統計1回分で長期投資のスタンスを変える必要はなく、景気循環全体の流れを確認することが大切。
  • インフレと金利が高止まりしやすい局面では、利益成長が見込めるグロース株よりも、安定配当株やインデックス投資が相対的に優位になりやすい。
  • 新NISAを活用する場合、米国株インデックス+高配当ETF+円建て資産といった分散を心がけ、「ドル一本足打法」にならないよう注意したいところです。

いずれにしても、今回の雇用統計は「今すぐリスクオン/オフに振り切る材料」というより、 2025〜26年にかけての景気サイクルと金利パスを考えるための重要な中間報告と捉えるのが現実的と言えるでしょう。

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9月の米雇用統計のように、市場を大きく動かす指標は「いつ・どの数字が出るか」を事前に把握しておくことがとても重要です。

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よくある質問|FAQ

9月の米雇用統計は景気後退のサインですか?

結論から言うと「景気後退入りを示す決定打ではない」と考えられます。
非農業部門雇用者数は市場予想を上回りましたが、失業率は4年ぶりの高水準へ上昇しました。 ただし、この失業率上昇は労働参加率が増えた影響が大きく、純粋な「雇用悪化」とは断定できません。

失業率が上がったのにドル円が大きく円高にならなかったのはなぜ?

米国債利回りが低下したものの、賃金が前年比3.8%と依然高めで、 FRBが即座に利下げへ動く材料としては弱かったためです。 また、世界的な金利水準の差や日本のマイナス金利解除後の慎重姿勢も、円高になりにくい背景として働きました。

なぜ10月の米雇用統計は発表されないのですか?

2025年10月に発生した米政府閉鎖の影響で、 労働統計局(BLS)が家計調査(失業率を算出する調査)を実施できなかったためです。 10月分の雇用者数は11月分に組み込まれ、12月16日に公開される予定です。

今回の雇用統計は12月FOMCの利下げにつながりますか?

多くのエコノミストは「利下げを正当化する材料には弱い」とみています。
理由は以下の通りです。

  • 雇用者数が予想を上回り、景気後退の明確な根拠がない
  • 賃金インフレは鈍化したが依然として高め
  • 10月統計欠測でFRBは「データ不足」の状態

このため、市場では利下げは来年以降にずれ込む可能性が高いとみられています。

【Check Point!】データ不足のなかで「9月分」が持つ重み

2025年9月の米雇用統計は、以下のような状況となり強さと弱さが入り混じる複雑な内容となりました。

  • 非農業部門雇用者数が市場予想を上回る堅調な増加
  • 失業率は約4年ぶりに4.4%まで上昇
  • 労働参加率の上昇と、恒久的な失業者の増加が同時進行
  • サービス業は堅調だが、製造業や運輸・倉庫は逆風
  • 賃金の伸びは鈍化したが、依然としてインフレ目標を上回る

さらに、政府閉鎖の影響で10月雇用統計が欠測となり、FRBは12月FOMCに向けて 「完全な雇用データ」を持たないまま最終判断を迫られます。 このことは、大幅な利下げ・利上げよりも、政策金利据え置きと慎重な姿勢を後押しすると考えられます。

日本の個人投資家にとっては、今回の雇用統計を 「短期トレードの材料」だけでなく、「今後1〜2年の金利・景気シナリオを考えるヒント」 として活用することが重要です。

雇用統計・インフレ指標・FOMCの3点セットを押さえながら、 ドル円・米国株・投資信託・NISAをバランス良く組み合わせることで、 不確実性の高い局面でもブレにくい長期運用を目指していきましょう。

出典|参考リンク

  • 米国労働統計局(BLS)「Employment Situation – September 2025」(英語) :公式ニュースリリース
  • 米国労働統計局(BLS)「The Employment Situation – September 2025」(PDF) :詳細PDF
  • Bloomberg日本語版「米雇用は予想上回る伸び、失業率4.4%に上昇-不安定な労働市場」 :記事リンク
  • ロイター「アングル:米政府閉鎖解除で統計発表再開、12月利下げ正当化は困難か」 :記事リンク
  • BLS「Revised news release dates following the 2025 lapse in appropriations」 :発表スケジュールの説明

著者紹介

元大手投資銀行(IBD)

リサーチ部門担当アナリスト

アナリスト歴12年

現エムズインベストメント投資情報局

リサーチ部門担当

専門は財務諸表分析、また、各国ファンダメンタルズ、マクロ経済を研究分析。

著:シューケル順子氏

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