長期金利とは?—仕組み・決まり方・景気や株価への影響を【徹底解説】

投資のコトバンク『長期金利』

ニュースで「長期金利が上昇」「長期金利の低下が株価を押し上げた」などと聞くことは多いですが、そもそも"長期金利”とは何か、どうやって決まり、私たちの生活や資産運用にどう影響するのかまでイメージできている人は意外と多くありません。

本記事では、投資や資産運用の情報を扱う当サイトが、長期金利の基本から仕組み、景気・株価・為替・住宅ローンへの影響、日銀の金融政策との関係、今後の見方のポイントまでを丁寧に解説します。

これから投資を始めたい方はもちろん、すでに株式・投資信託・FX・債券投資を行っている方も、長期金利の理解を深めることでニュースの意味がクリアになり、投資判断の精度を高めることができます。

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長期金利とは?—ニュースでよく聞く「10年国債利回り」

長期金利とは、一般的に満期までの期間が長い1年以上の債券の金利のことを指します。日本のニュースやマーケット情報で「長期金利」と言う場合、多くは「10年国債利回り」を意味します。

国債とは、国が資金調達のために発行する債券です。投資家が国債を購入すると、国は一定期間ごとに利子(クーポン)を支払い、満期時に元本を返済します。このとき、投資家が実質的に受け取る利回りを金利と呼びます。

日本では、金融・経済ニュースで使われる「長期金利」は、日本政府が発行する10年物国債の市場利回りが代表値として使われており、将来の物価や景気、金融政策への市場の見方を反映した重要な指標となっています。

例えば、新聞のマーケット欄に「長期金利 0.8%」とあれば、これは「新発10年国債をいま買った投資家が、年0.8%程度の利回りしか得られない水準まで国債価格が上昇している(=金利が低くなっている)」という意味になります。

ここで重要なのは、債券価格と金利(利回り)はシーソーのように逆に動くという点です。国債が人気になって価格が上がると、同じ利子額でも利回りは低くなり、逆に国債が売られて価格が下がると利回りは上昇します。

長期金利と短期金利の違い

金利には大きく分けて「短期金利」「長期金利」の2つがあります。

短期金利

1年未満のごく短い期間の資金のやり取りに対する金利で、日本では「無担保コールレート(オーバーナイト)」などが代表的な指標です。

これは、銀行同士がごく短期でお金を貸し借りする際の金利であり、日本銀行が政策金利として直接コントロールしています。

長期金利

1年以上、とくに10年程度の長期の資金を貸し借りする際の金利を指します。長期金利の代表が、先ほど紹介した10年国債利回りです。

短期金利が主に日銀の政策によって決まる「政策金利」であるのに対し、長期金利は、市場(投資家同士の取引)で決まる要素が大きいという特徴があります。

この短期金利と長期金利の関係をグラフにしたものが「イールドカーブ(利回り曲線)」と呼ばれ、景気の先行きや金融政策スタンスを読むうえで重要な手がかりになります。景気が良くインフレが高まると予想されるときには、長期金利が短期金利より高い「通常の右上がりカーブ」になり、不況や利下げ期待が強いときには、長期金利が短期金利を下回る「逆イールド」が話題になります。

長期金利はどうやって決まる?—3つの要因

長期金利は「市場で決まる」と言っても、まったくランダムに動いているわけではありません。金融理論では、長期金利はおおまかに次の3つの要素から構成されると考えられています。

3つの要因

  1. 将来の短期金利の予想の平均
  2. インフレ期待(期待インフレ率)
  3. 期間プレミアム(長期でお金を貸すことへの追加の見返り)

将来の短期金利の平均

理論的には、「10年物の長期金利」は、今後10年間の短期金利の予想値を平均したものとみなすことができます。将来、日銀が利上げして短期金利を引き上げると市場が予想すれば、長期金利も先回りして上昇しやすくなります。

インフレ期待

投資家は、将来物価が上がる(インフレになる)と予想するほど、高い名目金利を求める傾向があります。たとえば、毎年2%ずつ物価が上がると予想するなら、「せめて年2%以上の利回りがないと実質的に損」と考えるからです。

そのため、期待インフレ率が高まると長期金利も上がりやすく、逆にデフレや物価の伸び悩みが意識されると長期金利は低くなりがちです。

期間プレミアム

長期でお金を貸すことには、さまざまな不確実性が伴います。このリスクに対する「上乗せ分」が期間プレミアムと呼ばれ、満期が長いほどプレミアムが大きくなりやすいとされています。

長期貸付金のリスク

  • 予想外のインフレが起きるかもしれないリスク
  • 将来の景気や政策金利の見通しがブレるリスク
  • 発行体(国・企業など)の信用リスク

特に国債のような安全資産では信用リスクは小さいものの、インフレや金融政策の不確実性が高まる局面では、この期間プレミアムが膨らみ、長期金利の上昇要因となります。

長期金利—景気・株価・為替・物価に与える影響

長期金利は、企業の設備投資や住宅投資、個人の消費、金融市場全体に影響を与える「経済の体温計」のような存在です。ここでは、主な4つの分野への影響を整理します。

景気への影響

長期金利が上がるということは、長期的な資金調達コストが高くなることを意味します。企業が銀行から長期の資金を借りる際の金利や、社債を発行する際の金利が上昇すると、設備投資やM&Aなどの意欲が抑えられやすくなります。

その結果、長期金利の上昇は、将来の景気をやや冷やす方向の力として働くことが多く、逆に長期金利の低下は、投資や消費を後押しする傾向があります。

株価への影響

株式の理論価格は、将来得られる利益や配当を適切な割引率(投資家の期待収益率)で現在価値に割り引いて計算します。この割引率のベースの一つが長期金利です。

株価への影響要因

  • 長期金利が上昇 → 割引率が上がり、将来利益の現在価値が低下 → 株価にはマイナス要因になりやすい
  • 長期金利が低下 → 割引率が下がり、株価にはプラス要因になりやすい

特に、将来の成長期待が織り込まれた成長株・グロース株は、遠い将来の利益の比重が大きいため、長期金利の変動の影響を受けやすい傾向があります。

為替への影響

為替市場では、各国の金利差が重要な材料になります。例えば、米国の長期金利が上昇し、日本の長期金利がほとんど変わらない場合、

為替への影響要因

  • 「ドルで運用した方が利回りが高い」と考える投資家が増える
  • ドル買い・円売りの動きが強まり、ドル高・円安要因になる

このように、日米など主要国の長期金利差は為替レートに大きな影響を与えます。そのため、FXトレーダーは各国の長期金利や、その先行きを常にチェックしています。

物価・インフレへの影響

長期金利そのものが物価を直接決めるわけではありませんが、金利の水準が投資・消費を通じて需要を刺激または抑制することで、物価にも波及します。

例えば、日銀が金融緩和を行い、短期金利・長期金利を低く抑えることで、企業や個人の借入コストを下げれば、経済活動が活発になり、一定の時間差をもって物価上昇圧力が高まりやすくなります。

長期金利と住宅ローン・個人の家計への影響

長期金利は、住宅ローン金利(特に固定金利型)や、個人が利用する各種ローンの金利にも大きな影響を与えます。

固定金利型住宅ローン

一般に、フラットタイプなどの長期固定金利型住宅ローンは、主に長期金利(10年国債利回りなど)をベースに決まるとされています。長期金利が上昇すると、新たに借りる住宅ローン金利も引き上げられる傾向があります。

たとえば、3,000万円の住宅ローンを35年返済・固定金利1%で借りる場合と、2%で借りる場合では、総支払額に数百万円〜1,000万円以上の差が生じることもあります。そのため、長期金利の水準はマイホーム購入のタイミングや返済計画に直結します。

変動金利型との違い

一方、変動金利型住宅ローンは、主に短期金利をベースとした指標金利に連動しており、日銀の政策金利に大きく左右されます。短期金利が低く抑えられている局面では、変動金利型の方が当面の金利は低くなりやすいものの、将来的な金利上昇リスクも抱えます。

住宅ローンを検討する際は、以下の点を踏まえて、固定・変動・ミックスなどを比較検討することが重要です。

【Point!】

  • 現在の短期金利・長期金利の水準
  • 今後の金利見通し(インフレ・景気・金融政策の方向性)
  • 自分の返済余力・ライフプラン

日銀の金融政策—長期金利とYCC(イールドカーブ・コントロール)の関係

日本銀行(日銀)は、長年にわたり超低金利政策を続けてきました。特に2016年以降は、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール:YCC)と呼ばれる枠組みのもと、下記のような手法で、短期と長期の金利を同時にコントロールする政策を実施してきました。

日銀の金利政策

  • 短期金利:政策金利をマイナス圏に誘導
  • 長期金利:10年国債利回りが一定の範囲内に収まるよう国債買入れを調整

これにより、市場で自由に決まるはずの長期金利も、一定のレンジ内に抑えられてきたのが近年の日本の特徴です。ただし、インフレ率の上昇や海外金利の高まりなどを背景に、日銀は長期金利の許容レンジを段階的に拡大するなど、徐々に市場の力を尊重する方向に政策を調整してきました。

投資家の立場からは、以下の点が、長期金利の動きや日本株・為替相場を考えるうえで重要な材料になります。

重要な判断材料

  • 日銀がどの程度長期金利を抑え込もうとしているのか
  • 将来、YCCや超低金利政策を修正する可能性がどれくらいあるのか

投資家は長期金利をどう活用すべきか?

長期金利は、個人投資家にとっても投資戦略の前提となる重要なマクロ指標です。ここでは、具体的な活用ポイントを整理します。

株式投資の「割高・割安」判断の材料にする

株式の期待収益率(株主が求めるリターン)は、

  • 無リスク金利(長期国債利回りなど)
  • 株式リスクプレミアム(株式特有のリスクの上乗せ分)

の合計で考えることが多いです。長期金利が極端に低いときは、同じPER(株価収益率)でも「相対的には株が割安」と評価されやすく、逆に長期金利が急上昇している局面では、株式のバリュエーション調整(株価調整)が起こりやすくなります。

債券・債券ファンドの購入タイミング

長期金利が高い局面で長期国債や債券ファンドを購入すると、将来の利回りをロックインしやすくなります。反対に、長期金利が歴史的に低い水準にあるときに長期債を大量に保有すると、その後の金利上昇局面で債券価格の下落リスクを抱えることになります。

住宅ローンの固定・変動の判断

先ほど述べたように、長期金利は固定型住宅ローンの金利に影響します。長期金利が低い時期に固定金利で借りておくことは、将来の金利上昇リスクに備える一つの戦略と言えます。為替・FX取引での材料

FXでは、各国の長期金利差・期待インフレ率・金融政策の方向性が重要なテーマとなります。米国の長期金利が上がり、日本の長期金利が低止まりする局面では、ドル高・円安が進みやすくなります。

このように、長期金利の動きを日々チェックすることで、株・債券・FX・不動産など幅広い資産のリスク管理に役立てることができます。

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【Check Point!】長期金利を理解するとニュースの見え方が変わる

【Check Point!】

  • 長期金利とは、一般に10年国債利回りに代表される、長期の資金の貸し借りに対する金利である。
  • 短期金利が主に日銀の政策金利によって決まるのに対し、長期金利は将来の短期金利・インフレ期待・期間プレミアムなどを織り込んで市場で決まる要素が大きい
  • 長期金利は、景気・株価・為替・物価・住宅ローン金利など、私たちの生活や資産運用に幅広く影響する。
  • 日銀は長短金利操作(YCC)を通じて長期金利にも影響を与えてきたが、インフレ動向などを踏まえて政策を微調整している。
  • 投資家は、長期金利の水準や変化をチェックすることで、株式や債券、不動産、FXなどのリスクとリターンをより立体的に判断できるようになる。

ニュースで「長期金利が0.1%上昇」「長期金利が過去最低」といったヘッドラインを見かけたら、本記事で解説したポイントを思い出しながら、その背景と今後の資産運用への影響を考えてみてください。情報を「知っている」だけでなく、「投資の意思決定に活かせる」ようになることで、長期的な資産形成の精度は大きく変わってきます。

出典|参考リンク

※本記事の内容は上記公的機関等が公表する資料・統計を参考に、当サイトにてわかりやすく再構成したものです。

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