RRPと流動性サイクルで読む株式市場|残高減少→上昇、次の転機は?

RRPとは何か—1分解説

RRP(リバースレポ)はニューヨーク連銀が実施する短期オペで、FRBが保有証券を一時的に貸し出し、民間が現金をFRBへ預ける取引です。民間は翌日などに現金を受け取り、証券を返却します。RRPの活用は短期金利の下限を支えると同時に、市場から現金を吸収する(=流動性を引き締める)効果を持ちます。ニューヨーク連銀の公式FAQが、この仕組みを明確に説明しています。

参考:ニューヨーク連銀「Reverse Repo Operations」「RRP FAQ」。

実際にRRP残高はパンデミック後に急増し、2022年に約2.6兆ドルでピークを付けた後、2023〜2025年にかけて大きく減少しました(FRED統計)。

補足:FF市場の下限設定にRRPが用いられる点は、日本財務省の解説にも示されています。

参考:財務省

なぜ株は上がった?RRP減少→資金回帰の経路

ポイントはただ一つ。RRP残高が減る=FRBに隔離されていた現金が市場に戻ることです。戻ってきた現金は、短期金融市場(TB・CP・レポ)や銀行準備、社債・株・仮想通貨などへ再配分されます。2023後半〜2024にかけてRRPが急減する中、米株・BTC・ハイテク株が上昇したのは、この流動性の回帰が下支えになったためです(金利や業績だけでは説明しきれない部分)。

RRP減少の背景には、以下の3つが挙げられます。

RRP減少の3つの背景

(1)短期国債(金利)の相対的魅力上昇でMMF資金がRRPから米国債へシフト 

(2)企業の納税などによる資金需要 

(3)FRBがRRP金利の調整を行い施設の魅力を相対的に低下させたことがあります。

出典:FRED

いつRRPは再び増えるのか—3つの条件

  1. 短期金利が再び高止まり or 上昇し、MMFがRRPへ資金を停泊させる誘因が強まるとき(FRBのRRP金利設定も影響)。2024年末にFRBはRRP金利調整で施設魅力度を下げた経緯があり、政策運用により利用動向は変化します。
  2. TGAの積み上がり(国債大量発行)で民間資金が財務省側へシフト、短期資金が余りRRPへ回帰しやすい環境。TGAの基礎概念は日本語でも整理されています。
  3. QT(バランスシート縮小)の継続により、民間の資金配分が再調整され、短期の安全な受け皿としてRRP需要が復活する局面。

反対に、RRPが底這いなら市場には資金が回っており、株式に中立〜追い風になりやすい地合いが続きます。足元のRRP動向・金利・準備預金を総合して判断しましょう。

投資戦略—指標・シグナル・実務のチェックリスト

A|最低限ウォッチ3点セット

  • RRP残高(FRED: RRPONTSYD):減少はリスク資産の追い風、増加は逆風シグナル。
  • TGA水準:積み上がりは吸収、取り崩しは供給。財政イベント(債務上限、決算期)に注意。
  • 銀行準備預金:システムの潤沢度を示すバックボーン。

B|売買に落とすルール例

  1. RRPの週次トレンドが減少を維持し、短期国債利回りが落ち着く局面→成長株・高βへの比率をやや引き上げ。
  2. RRPが反転増加し、TGAも増勢→バリュー有利・キャッシュ比率引き上げ。
  3. 金融相場→業績相場への移行点では、流動性指標よりもEPS・ガイダンス重視に段階的にシフト。

C| 注意点

  • RRP・TGA・準備預金は同時に見る。単独の増減だけで断定しない。
  • 政策変更(RRP金利の微調整など)は需給の転機になり得る。

FAQ|よくある質問

「RRPが増える=FRBがお金を配っている」?

いいえ。RRPは民間が現金をFRBへ預けて証券を受け取る取引。市場から現金が吸収される方向です。ニューヨーク連銀の定義を確認しましょう。

RRPがゼロ近辺なら安心?

ゼロ近辺は「現金が市場側にある」ことを示唆しますが、TGA増勢や政策変更があれば需給は一変します。

株は業績だけで上がる?

利益成長は重要ですが、流動性がトレンドの起点・延命要因になることは多く、RRPの急減局面が株高の追い風となった事例は各種レポート・報道に残っています。

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結論|いま必要なのは「流動性→価格」の地図化

RRP減少=現金が市場回帰で株は上がりやすく、RRP増勢=現金吸収で逆風。ここにTGA準備預金を重ね、週次で「どのバケツに資金がたまっているか」を確認しましょう。次の転機は、短期金利・政策微調整・TGAの積み上がりが同時に起こるタイミング。
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出典|参考リンク

※本記事は上記公的統計・一次情報を優先し、解釈は編集部によるものです。投資判断は自己責任で行ってください。

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